早稲田大学(新宿区早稲田1)は、10月17日、第7回早稲田大学坪内逍遙大賞を映画監督の是枝裕和さんが、奨励賞を文芸評論家の福嶋亮大さんが受賞したと発表した。
「第7回早稲田大学坪内逍遙大賞」奨励賞を受賞した福嶋亮大さん
同賞は、早稲田文化および近代日本の文芸・文化の創造者ともいうべき坪内逍遙の偉業を顕彰し、その精神を広く未来の文化の新たな創出につなげたいとの趣旨に基づき、創立125周年を記念して2007(平成19)年に創設。文芸をはじめ広く文化芸術活動に貢献する個人(もしくは団体)を隔年で顕彰する。「大賞」と、これからの文化の担い手としての才能を支援する目的で「奨励賞」を併せて授与する。
大賞を受賞した是枝さんは「早稲田大学出身の自分にとっては、とてつもなく大きな名前を冠せられた賞を頂き背筋の伸びる思い。受賞理由を読ませて頂き、来し方を振り返ってみると、自分のどの取り組みも未だ道半ばであることにあぜんとする。それでも立ちすくむことなく、一歩一歩踏みしめながら、先人の切り開かれた道をこれからも歩いていきたい」とコメントを寄せた。
奨励賞を受賞した福嶋さんは「文学を専門にしている者として、こういう晴れがましい場から取り残されてしまうもの、光が当たらないものに対するアプローチが大事だと思っている。受賞にはしゃぐことなく、むしろそのようなものへの繊細な心配りを大事にしていきたい」とコメントした。
選考委員は、鵜飼哲夫委員長(読売新聞編集委員)、奥泉光副委員長(小説家、近畿大学教授)、松永美穂副委員長(翻訳家、早稲田大学教授)、小野正嗣さん(小説家、早稲田大学教授)、ロバート・キャンベルさん(日本文学研究者、国文学研究資料館長)、重松清さん(小説家、早稲田大学教授)、田中光子さん(文芸春秋 文芸出版局)の7人。
第1回の大賞は作家の村上春樹さん、奨励賞は作家の川上未映子さんが受賞。前回の大賞は翻訳家の柴田元幸さん、奨励賞は詩人のアーサー・ビナードさんが受賞している。