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早大エンパクで子どもの未来考える企画展 案内役は逍遙が愛した羊

早稲田大学演劇博物館 企画展「コドモノミライ」2階廊下 展示の様子

早稲田大学演劇博物館 企画展「コドモノミライ」2階廊下 展示の様子

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 早稲田大学演劇博物館が現在、「こどもをテーマとする現代演劇」を多角的に紹介する企画展「コドモノミライ」を開催している。

「エンパク」の名で知られる早稲田大学演劇博物館外観と企画展「コドモノミライ」のバナー

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 設立者の坪内逍遙(しょうよう)が19世紀初頭、アメリカのアリス・ミニー・ハーツの著書に影響を受け、演劇の教育的効果を広めるための理論書や台本を書くなど児童劇の研究と実践に取り組んだという歴史的な経緯を持つ同館。同展は、逍遙が切り開いた系譜の一つを継承し、「こどもや青少年をテーマとする現代演劇」の作品や活動を中心に取り上げる。

 同館の所蔵資料および個人や劇団が所蔵する上演写真、台本、ポスターなどの資料展示のほか、2階通路では、子どもを取り巻くさまざまな問題を取り上げた現代の演劇作品を紹介。各作品のテーマを掲げ、チラシや解説と共に、上演舞台の全編または一部を視聴することができるようモニターとヘッドホンを設置する。

 企画を担当した早稲田大学演劇博物館助教の飛田勘文さんは、「演劇という表現を通して、大人が子どもの未来を考える、子ども自身が演劇を通して自分たちのことや社会について学ぶ、そのきっかけになればと、大人にも子どもたちにも興味を持ってもらえるよう構成を考えた。今を生きる子どもたちが置かれた状況を認識し、その未来に、どのような希望を描くことができるのかを一緒に考えていただきたい」と意図を説明する。

 訪れた人を案内する子羊のサインは、「蔵書に『小羊(しょうよう)』の蔵書印を押すほどの羊好きだったという未(ひつじ)年生まれの逍遙先生自身が子どもたちに語り掛けるように案内するという設定」と、同館ならではの工夫も。

 飛田さんは「子どもにとって大事だと思うことは、この世の中にはいろいろな人がいるのだと知ること、まだ知らない世界と出会うこと。子どもが生きる世界は家庭や学校など限られた狭い範囲で、出会える人も限られている。演劇という表現や演劇の中の登場人物を通して、世界が広がり、今置かれている世界から一歩踏み出す一助になれば」と期待を込める。

 開催時間は10時~17時(火曜・金曜は19時まで)。11月20日、12月4日・11日・18日休館。入館無料。12月25日まで。日程は変更する場合あり。

 11月28日、12月10日は、「演劇を通して子どもと社会の関係について考える」をテーマに、飛田さんによるギャラリートークを行う。

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