西早稲田の中国カフェ「甘露」(新宿区西早稲田3)が、冬メニューとして提供する「湯圓」(たんゆえん)の新作「三只小猪(3匹の子ぶた)」を2月1日から提供、ネットで話題になっている。
西早稲田の中国茶カフェ「甘露」の湯圓「三只小猪(3匹の子ぶた)」
「甘露」は中国茶器にポットで足し湯をしながら楽しむ中国茶と薬膳スイーツのカフェとして、2018(平成30)年にオープン。以来、ツイッターなどで話題になり、遠方から同店を目指して西早稲田にやって来るファンも増えている。2月4日には公式ツイッターのフォロアー数が1万を超えた。
「湯圓」は、もち米の粉で作った丸く小さい団子で、団子をゆでた砂糖入りの湯と一緒に味わう中国スイーツ。同店ではゆで汁とは別の湯に入れて冬メニューとして提供している。
レシピを考案した同店の向井まいこさんは「中国のお菓子は素朴な見た目の物が多いイメージだが、最近では日本同様にキャラクターものなどがはやっている。新作の湯圓も、中国では『小猪湯圓』と言い、猪年(亥年)に縁起物として作られたという説があるが、そのかわいさから猪年とは関係なく作られるようになっている」と話す。
「3匹の子ぶた」は、ピンク色の耳、鼻と目を付けた団子に、中華風のカスタードクリーム「黄金流沙餡(おうごんりゅうさあん)」を使う。アヒルの塩漬け卵の卵黄の甘じょっぱさが特徴。モチモチの皮の中からあふれ出す濃厚なクリームは中国出身スタッフにも大人気があるという。
向井さんは「まるで子ぶたがお風呂に入っているかのようなかわいいさまにほっこり癒やされてほしいと提供に踏み切ったが、それからが大変だった」と振り返る。
何度もテストを繰り返したにもかかわらず、販売初日からゆでる最中に湯圓の皮が破れて餡(あん)が出る、耳が取れるなどのトラブルが多発。その日のうちに提供の一時停止をツイッターで発表。以後も、たまたま店内で注文することができた人が「おいしかった…。こぶたの湯圓もお願いできて幸せでした…もちもちでした」「話題の子豚さん『三只小猪』を頂きました」(原文ママ)などのコメントと共に画像をツイートするなどして話題になっていた。
連日工房で皮の配合や重量を変えるなど試行錯誤を重ね、現在は、数量限定で販売を再開している。
向井さんは「海外への渡航もままならない状況の今、海外の文化に触れる機会は得にくい。定期的に現地取材をしてメニュー開発をしてきた私たちにとってもつらい状況。そんな時だからこそ『食』を通して文化発信をし続けることは意味のあることだと考えている。実際に甘露に足を運んでいただいく人にも、そうでない人にも、子ぶたのかわいさにホワッと癒やされながら、今の中国の一面を感じてもらえれば」と呼び掛ける。
「三只小猪(3匹の子ぶた)」(680円、税別)。営業時間は11時30分~18時。木曜定休。