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「3月18日は点字ブロックの日」 JR高田馬場駅早稲田口に純白のポスター

JR高田馬場駅早稲田口に掲示された純白のポスター

JR高田馬場駅早稲田口に掲示された純白のポスター

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JR高田馬場駅が、純白の紙の左半面に浮き出し加工を施し、視覚に障がいがある人も触れて読むことができるバリアフリーポスターを、3月18日の点字ブロックの日に合わせて早稲田口に掲示している。

JR高田馬場駅に点字ブロックが敷設される様子(提供:JR東日本高田馬場)

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 点字ブロックの日は、1967(昭和42)年3月18日に岡山県で世界初の点字ブロックが敷設されたことに由来する。正式名称は「視覚障害者誘導用ブロック」。

 高田馬場には、国内最大級の点字図書館をはじめ、視覚障がい者関連の施設やケア団体の集積があり、視覚障がい者が集まる街という一面があり、高田馬場駅前の東側エリアには全国に先駆けて点字ブロックが広く敷設されている。

 今回のポスターの掲示は、高田馬場駅早稲田口のカフェ「STAND by bookandbedtokyo」に、浮き出し加工技術を使った「バリアフリーカレンダー」が寄贈されたことがきっかけとなった。同店はJR東日本が手掛ける東京感動線プロジェクトの「駅の文化交流拠点」として2020年8月にオープンした。

 カレンダーは、箔(はく)押しや点字印刷を手掛ける真美堂 手塚箔押所(新宿区)が企画・製造。「カレンダーの数字に浮き出し加工を施すことで、視覚に障がいがある人もない人も同じカレンダーを使うことができる。同じものを使うことで、お互いへの理解や、相手を思いやる気持ちが生まれれば」との思いから、2015(平成27)年から日本点字図書館などで販売してきた。

 JR東日本で東京感動線プロジェクトを担当する星野宏侑さんは、このカレンダーをヒントに「3月18日の点字ブロックの日に、駅のメディア(駅のポスター)という人目に触れやすい媒体を通して高田馬場・東京・日本そして世界中の人たちが、点字や点字ブロック、あらゆる障がいやダイバシティーに対する理解や関心を持つきっかけづくりができれば」と考えたという。

 ポスターはB0サイズの駅の掲示板にB1サイズのポスターを並べる。一見すると左半面は白紙にも見えるが、浮き出し加工技術を使った凹凸のある文字でメッセージが書かれている。点字の知識がない人でも読むことができ、視覚に障がいがある人は触って読むことができる。フォントは、高田馬場の字游工房(じゆうこうぼう)制作の手で触って読みやすい游ゴシック体。

 デザインを担当した関宙明(せきひろあき)さんは「一般的にデザインの世界では視覚に訴えることが多い。私なりに視覚に障がいがある人たちに対して自分にできることはないか考えていた。手塚さんとの出会いでバリアフリーカレンダーという一つの形が出来上がった。今回のポスターも、晴眼者と視覚障がい者の双方へのアプローチを考えた」と話す。

 加工を手掛けた手塚博雄さんは「B1サイズ全面の浮き出し加工は経験がなかった。ずれが生じないよう、紙を傷めないよう何度も加工位置を変えながら仕上げた。未知へのチャレンジは自分の可能性を引き出してくれる。とてもいい経験になった。たくさんの人の目に触れる駅構内、多くの人に点字を読んでいる人の気持ちを感じ取ってほしい」と言う。

 星野さんは「いろいろな意味で高田馬場の街にふさわしいポスターが出来上がったと感じている。ちょうど高田馬場に新入生が集まってくる季節。このポスターが点字や点字ブロック、視覚障がい者の方への理解や関心を少しでも増やすきっかけになれば」と期待を込める。

 掲示は4月18日まで。

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