早稲田大学の同窓会組織である早稲田大学校友会(以下、校友会)が卒業生66万人、在学生の5万人を対象に「海外赴任/留学前コンサルテーション(以下サービス)」を開始すると7月15日、発表した。
海外赴任や海外留学を控える早稲田大学の卒業生や在学生が、渡航先に居住する卒業生に渡航前に現地の生活事情をはじめとした心配事などの相談をオンラインで行えるサービス。校友会がハブとなり、アジア、大洋州、北米、中南米、欧州、中東、アフリカなど世界各地で活動する約70の稲門会(早稲田大学の卒業生組織)の協力を得て実現にこぎ着けた。
海外の稲門会に所属する卒業生は、後輩たちの力になりたいという強い思いを持っているといい、2018(平成30)年ごろにはオンライン相談の構想があった。新型コロナウイルスの感染拡大以前は個別に対面でアドバイスなどを行う機会を設けていたが、コロナ禍でオンラインミーティングの利用が急速に普及したことで、サービスを制度化することにした。
担当する校友会事務局の渡部美紗さんは「海外に行こうと考えている人たちがコロナ禍のつらい状況で諦めないように、動きやすいように後押しできればという思いでサービスの開始に至った」と話す。卒業生有志によるサービスのため、無料で提供する。
海外渡航予定者が、渡航予定地に居住する海外稲門会のメンバーと渡航前から密なミュニケーションを取ることで、モチベーションの維持・向上と、新しいネットワークを構築する場の形成を図る。同窓会組織ではなく、卒業生一人一人によるサービスであることを表現するためにサイトには「WASEDA ALUMNI PRESENT」の文字も。
オンライン留学予定で、今後渡航に切り替える可能性のある学生も対象に含まれる。相談希望者は所定の申し込みフォームから申請。校友会が現地の稲門会に連絡し日程調整をする。当日はオンライン会議システムを使用して、申請者と現地稲門会の担当者をつなぐ。「現地の稲門会によって相談内容に適した卒業生とつないでもらえる」(校友会)という。
渡部さんは「顔の見える先輩から、会社や学校以外での知り合いのつくり方、オフの日の過ごし方、今後のキャリアについてなどいろいろな話を聞くことができる。このサービスを利用して海外渡航の準備を進める中で、先の明るい未来を想像しながら、早稲田を満喫してほしい」と思いを込める。
総長室校友課長兼校友会事務局長の三木省吾さんは「海外で活躍する卒業生の多い早稲田ならではの取り組み。コロナ禍の中、思い描いていた学生生活を実現できていない学生もいるかもしれないが、このサービスが『早稲田に入って良かった』と感じる一つの体験になってくれれば」と話す。
リリースした直後から既に反響があり、今後も対象国・地域の拡大や、サービスのブラッシュアップを行っていくという。三木さんは「取り組みが広がっていけば、世代や国を超えて早稲田の学生や卒業生が一堂に会するようなイベントも活発に行っていけるかもしれない」と今後のサービスの広がりに期待を込める。