学ぶ・知る

新しい施工手法で建築現場と林業の課題解決模索 早稲田大学で公開施工実験

公開施工実験を行う木造大型パネル

公開施工実験を行う木造大型パネル

  •  

 早稲田大学とウッドステーションが12月15日・16日、早稲田大学西早稲田キャンパス(新宿区大久保3)で「木造大型パネル住宅」の公開施工実験を行う。

木造大型パネルを施工している様子

 ウッドステーションが開発した木造大型パネル住宅の上棟を公開し、早稲田大学創造理工学部建築学科の高口研究室がそのパネルの性能を評価する今回の実験。ウッドステーションによると「近年の住宅生産では震性や省エネ性能の向上などの品質が求められる一方、現場熟練工の不足や高齢化が進行。建築の品質の確保のため、木造建設のプレハブ化が急務の課題となっている」という。

[広告]

 ウッドステーションの社長・塩地博文さんと早稲田大学の教授・高口洋人さんは、高口さんが同大の博士課程だった頃からの付き合い。塩地さんが前職の三菱商事建材で建材の「モイス」を早稲田大学と共同開発し始めた2000年にさかのぼる。その後も大学対抗の建築コンペ「エネマネハウス2015」に早稲田大学がエントリーした際に、塩地さんが木造大型パネルを提供するなど関係性が続き、建築現場や国内林業の抱える課題解決への思いを共有してきた。

 同社が開発した木造大型パネルは、構造材・面材・間柱・断熱材・サッシ・1次防水までを一体化したもので、現場での大幅な工期短縮を実現。1日で上棟、1次防水、施錠までできるという。一般的な軸組み工法(金物工法)を採用することで、特別な資材や高度な技術を必要としないことも特長。汎用(はんよう)性を持たせることで早期の普及を目指す。

 公開実験の検証項目は、施工性、品質の担保性、耐震・気密・高断熱など。15日は大型パネル施工見学会を、16日は木造躯体展示会・講演会・解体、移送を行う。講演会では木造大型パネルの説明やパネルディスカッションを行い、木造大型パネルの有用性や林業事業者から工務店までのサプライチェーン構築の構想など、木造大型パネルへの理解を深める機会を提供する。

 塩地社長は「木造大型パネルは、前職在職中の4年前に開発した。徐々に広がりを見せ300棟の実績を上げたことで、本格的に事業化に取り組むことになった。将来的には大型木造分野にも進出し、インフラとして社会に定着させたい」と意欲を見せる。講演会では建設現場が抱える課題や木造大型パネルが切り開く建築業界の未来について語り合う予定で、「工務店や設計士、建材メーカー、林業事業者など建築や建材に関わるプロの方に参加いただければ」と呼び掛ける。

 高口教授は「建築現場では人材不足による省力化が求められている。他方、国産材はロットが小さいことなどが原因で林業事業者の収益が悪化している。工業製品である木造大型パネルが流通すると、この双方の課題を解決することができる」と説明。「今回の実験は客観的な評価を行う公開実験。より多くの人に木造大型パネルの有用性を知っていただければ」と話す。

 開催時間は15日=10時~17時、16日=10時~15時。入場無料。