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早大・学生支援の寄付で「早稲田の底力」 1.4万人超から5億円、先輩から後輩へ

早稲田大学早稲田キャンパスの大隈重信像

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 早稲田大学(新宿区戸塚町1)が、新型コロナウイルス感染症拡大により経済的に困窮している学生への支援策として呼び掛けている寄付が8月4日に5億円に達したと、6日に発表した。

真夏の日差しを浴びる早稲田キャンパスにある大隈重信像

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 早稲田大学は4月24日から、経済的に困窮している学生支援のために教職員、卒業生、個人、団体、法人などに寄付(1口1万円~)を呼び掛けてきた。1週間で1億円、1カ月で2億円、6月12日には3億円に到達。寄付金は経済的に困窮している学生に給付する「緊急支援金」(10万円)や「早大緊急奨学金」(40万円)に充てている。希望が多かった「緊急支援金」はこれまでに約5000人に給付した。

 寄付の多くは卒業生によるもので、当初は若い世代の卒業生がクレジットカードを利用し迅速な寄付が、最近では年配の卒業生の寄付が増加しているという。幅広い世代からの寄付が集まっており、海外の卒業生からの支援もあり、合計1.4万人以上から寄付があった。寄付者からは「進取の精神」「学問の独立」「集まり散じて人は変われど」など、同大の教示や校歌から引用を含むコメントをはじめ、現役生を励ますコメントが多く寄せられている。

 過去に実施した多目的施設「早稲田アリーナ」建設のための募金では、1年間で約5億円のペースで募金が集まっていたが、今回の学生支援の寄付は3カ月強で5億円に到達した。早稲田大学の総長室校友課長兼校友会事務局長・三木省吾さんは「寄付のスピードはかつてないもの。金額にも驚いているが、学生支援のためにこれだけ多くの方から寄付していただけたことに、本当に感謝している」と話す。

 早稲田大学では年間1.4万件以上(2018年度実績)の奨学金を交付しており、独自の奨学金制度は寄付によって成り立っている。在学中に奨学金を受給していた人が、自分が先輩からしてもらったように、卒業後に寄付で学生を支援する側にまわる循環が生まれている。三木さんは「早稲田精神の循環が醸成できればと願っている。今回の5億円到達は、早稲田の底力の表れだと思う」と話す。

 卒業生組織である校友会の活動が活発な早稲田大学だが、今年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、校友会の祭典「稲門祭」をはじめ多くのイベントが中止となり活動が大幅に制限されている。そんな中、卒業生からは「今年は仕方がない。普段の校友会活動のエネルギーを学生支援に向けていこう」という前向きな声も多いという。校友会活動により、卒業生と校友会職員をはじめ大学職員は日頃からコミュニケーションが活発で、そのこともこれまでにない早さで5億円を達成できた要因の一つとなっている。

 三木さんは「今回の5億円突破はひとえに全国・世界各地の校友の皆さま一人一人の後輩・母校を思う温かい気持ちの結晶にほかならない。大学・校友会事務局としても感激で涙が出るほどありがたく、感謝の気持ちで一杯。こうした先輩方の思いをきちんと学生に伝えることにより、その学生たちが卒業後、今度は後輩を支える一人になってほしいと願っている」と話す。

 「残念ながらコロナ禍はまだしばらく続きそうな報道もあり、今後も救済が必要な学生が後を絶たないと思われる。引き続きの応援・ご支援を頂ければ、なおありがたい。そして、校友の皆さまにはコロナ禍収束後、存分に活発に校友会・稲門会活動を再開していただき、3密を気にすることなく、肩を組んで『紺碧の空』を歌える日を私も待ち遠しく思う」とも。

 早稲田大学では引き続き、経済的に困窮している学生支援のための寄付を受け付けている。

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