早稲田大学演劇博物館(新宿区西早稲田1)が、現代人形劇の世界を一望する特別展「人形劇、やばい!」を、同キャンパス内・早稲田大学歴史館企画展示ルーム(早稲田キャンパス1号館1階)で開催している。
エンパク「人形劇、やばい!」 ドン・ガバチョ人形(ひとみ座『ひょっこりひょうたん島』)©I/Y-H・NEP
明治時代以降、ヨーロッパからもたらされた新しい演劇論や人形劇の影響を受けて誕生した日本の「現代人形劇」の魅力と毒性に注目する。「やばい」という多面的な言葉を手がかりに、「人形劇にしか果たし得ない社会的意義や、その表現の持つ可能性について考える機会となることを目指す」企画展。
見どころ一つは、同館が所蔵する「ダーク式糸あやつり人形」の展示。1894(明治27)年に来日したイギリスの人形劇団ダーク座の呼び物だった「骸骨踊り」に使われた西洋式糸あやつり人形を模して大正期に日本で制作された「ダーク式糸あやつり骸骨」を展示する。
「現代人形劇の出発点」と題して展示するのは、後に舞台美術家・演出家となる伊藤熹朔(きさく)・千田是也ら若き芸術家たちが集い開催した人形劇公演の舞台写真。1923(大正12)年に上演され日本の現代人形劇の出発点と位置付けられているメーテルランク作「アグラヴェーヌとセリセット」、後に彼らが立ち上げた「人形座」の旗揚げ公演「誰が一番馬鹿だ」の舞台写真など、同館所蔵の記録写真を初公開。人形を用いた当時の前衛芸術活動の一端を振り返る。
「現代人形劇の金字塔」と題して、NHKテレビ人形劇「ひょっこりひょうたん島」を筆頭に、同作の演じ手だった人形劇団ひとみ座や、同時期に人形劇普及に貢献した人形劇団プークなどの活動を紹介。実際に使用された人形や舞台写真、映像、公演台本などから戦後人形劇の広がりをたどる。
同館はアジアで唯一の演劇専門総合博物館で、1928(昭和3)年に創立。演劇や映像に関する資料を約100万点所蔵し、資料のデジタル化やインターネット上での公開などにも取り組み、演劇・映像文化の普及に努めている。
開催時間は10時~17時。11月20日・27日、12月4日・11日・18日休館。入館無料。12月24日まで。
12月3日は、企画担当者によるギャラリートークを開催。