「第2回 丸屋九兵衛's ブッカー・T・ワセダ 黒人歴史月間だから、アフリカ系偉人たちの本を」が早稲田駅前の書店「文禄堂早稲田店」(新宿区馬場下町、TEL 03-3203-7123)のイベントスペース「Table Talk Waseda」で2月29日に行われた。
「丸屋九兵衛's ブッカー・T・ワセダ」は、早稲田大学文学部出身で音楽評論家などとして活動し、幅広い知識から「万物評論家」ともいわれる丸屋九兵衛さんが「早稲田の書店で書籍を語る」トークイベント。今年1月からスタートし、毎月末日の夜に行う。
当日は、参加者にアルコール消毒をしてもらったほか、丸屋さん自身がマスクを持参して参加者に配ったり、参加人数を制限して座席の間隔を広く取ったり、新型コロナウイルス対策にも注意を払った。
米国では2月が「黒人(アフリカ系米国人)歴史月間」であることにちなみ、今回イベントでは、政治・教育・文化に貢献したアフリカ系米国人の著作や伝記にスポットを当て、米国の漫画「ブーンドックス」に沿って、さまざまなアフリカ系米国人を紹介した。
「日本ではあまりなじみのない人物」としてハリエット・タブマン、フレデリック・ダグラスを紹介。19世紀前半生まれの両者は、元々はアメリカ南部からの逃亡奴隷で、後に奴隷解放運動などの活動を行ったという。19世紀後半生まれで、ピーナツのさまざまな用途を発明した科学者のジョージ・ワシントン・カーヴァーや教育者のブッカー・T・ワシントンも取り上げた。両者共に元奴隷で、ブッカー・T・ワシントンは同イベントのタイトルの元になった人物という。
この他にもキング牧師やマルコム・Xといった日本でもよく知られた人物のマニアックなエピソードやさまざまな関連書籍を紹介し、参加者の中には熱心にメモを取る人の姿もあった。イベント会場には、丸屋さんの選書コーナーも展開。トークで紹介した関連書籍を手にする参加者も多く見られた。
丸屋さんはイベントについて「こうして書店でトークを始めたのは、取り上げる偉大な人々が書いた本、偉大な人々について書かれた本を読んでみてほしいから。また書店トークというのは私が長らく関わってきた書籍業界、出版不況といわれて久しい業界の役に立ちたいからということもある。さらに、この街で語るというのは私自身の母校への恩返しみたいなところも。今日に関して言えば、自分の心や頭を育ててくれた黒人文化、黒人思想の皆さんへの恩返しでもある」とコメントした。