早稲田大学(新宿区戸塚町1)と東京大学(文京区本郷7)が、「東京大学と早稲田大学との大学間交流に関する包括協定」の調印式を3月30日に早稲田大学の大隈会館で行った。
協定書にサインする早稲田大学・田中愛治総長と東京大学・五神真総長(左から)
いずれも歴史のある大学が、国立・私立の垣根を越えて連携する。デジタル革新により、経済社会が知識や情報、サービスが価値を生む「知識集約型社会」に変化していることが背景。総長就任直後から大学からの社会変革を掲げてきた東大の五神真総長から「知識集約の中心になる大学が、産業界を巻き込む形で大きな変革を進めるために、インパクトある連携ができれば」との考えから、早稲田大学の田中愛治総長に話を持ち掛けたという。
早大の持つOBネットワークやヒト型ロボット研究など社会のニーズを探る力と東大の持つ最先端研究・開発力や大型研究施設など、それぞれの強みを生かして相乗効果を図り、新しい価値の創造を目指す。具体的な内容は今後詰めていくが、幅広い領域での連携を想定しているという。
調印式とともに行われた会見では、記者席の間隔を広くしたほか、サブ会場も用意して同時中継の映像を流すなど、新型コロナウイルス対策が敷かれた。早大からは田中総長、須賀晃一副総長、笠原博徳副総長が出席、東大からは五神総長、宮園浩平理事・副学長、白波瀬佐和子理事・副学長がそれぞれ出席し、記者からの質問に答えた。
五神総長は早大と連携する理由について「連携先として早大が重要だと考えた理由は、相補性と規模感。社会変革を駆動するきっかけを東大でつくれても、それを実装していくには規模が重要。早大の持つ人脈と東大の持つ人脈が非常に相補的である」と述べた。
田中総長は、東大との連携について「意義のある研究し、効果的な教育をしていく中で東大との連携は非常に有効。日本で最も強い大学であり、早大も対話をできるレベルにある。その中で学生を育てることができるということは長い目で見たとき必ず早稲田を強くすると思う」と述べた。