東京メトロ西早稲田駅前のダンススタジオ「in the house」(新宿区高田馬場1)がオンラインでのダンスレッスンサービス「Live Lesson in the house」を5月16日、開始した。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で休業中の「in the house」のスタジオの様子
広告・映像制作など手掛けるin the houseが、2018(平成30)年にオープン。代表の佐々木和宏さんは早稲田大学在学中にダンスサークル「SesSion」を立ち上げた経歴を持つ。佐々木さんはSNSの普及で趣味のコミュニティーが細分化され、オンラインでは集まれるが、リアルに集まって練習する場所が不足していることに着目。自身のバックグラウンドもあり、ダンサー向けのスペースを立ち上げることにした。
渋谷、新宿、池袋などのターミナル駅でも物件を探していたが、土地勘があり、学生も多いエリアであることから、現在の物件に。当初はダンスの利用が中心だったが、フリースタイルバスケットボール、フリースタイルフットボール、体操教室、スイス生まれの体鳴楽器「ハンドパン」の教室などさまざまなジャンルの利用者が増え、「文化が交流する場所になっている」という。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響は3月ごろから出始めた。貸し切りやイベントのキャンセルが相次ぎ、4月1日から臨時休業している。オンラインレッスンサービスの準備は4月に入ってから取り組み始めた。佐々木さんは「新型コロナウイルス感染症の影響を一時的にしのぐサービスではなく、労働集約型であるダンサーが踊らなくても収益が得られる仕組みを以前からつくりたかった」と話す。
「Live Lesson in the house」では、映像制作なども手がける同社のノウハウを活用。「ダンスレッスンそのものの再定義」を目指し、「ライブレッスン」「チャットレッスン」「アーカイブレッスン」の3つのメニューを提供する。「ライブレッスン」(1,000円)では、業務用のカメラや機材を使用することで、配信品質をFULL HD 60fpsまでをサポートし、講師の細かな動きまで把握できる。「チャットレッスン」(250円)では、自分のパフォーマンスの動画を送ることで、個別にアドバイスが受けられる。
今後展開予定の「アーカイブレッスン」は、ライブレッスンの様子をアーカイブとして保存・販売する。ユーザーは好きなタイミングでダンスレッスンを受講することができる。ライブレッスンの様子を販売することで、「ダンサーは自身のレッスンを永続的な収益源とすることができる」(佐々木さん)という。
現時点で、「Live Lesson in the house」には10人程度のダンサーのメニューを用意。ヒップホップ、ジャズ、ポップ、ブレイク、アニメーション、フリースタイルバスケットボールなど、さまざまなジャンルを用意する。今後は社交ダンス、ジャグリングなどのダンサー、パフォーマーが参加する予定という。
佐々木さんは「オンラインレッスンでは一緒に踊っている感覚を体験することが難しく、リアルなレッスンをオンラインに置き換えられないことが課題だと感じたため、オンラインだからこそできることを追及した。ダンサーやユーザーに提供するためのベストプラクティスを考え、これからのダンス市場に貢献していきたい」と意気込んだ。