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早大前の喫茶店「ぷらんたん」、クラファン翌日に300万円達成 現役早大生らサポート

「マスター」こと店主の前田広喜さん(右から3番目)と「大隈塾」のプロジェクト活動「WDS」有志メンバーの皆さん(撮影のためマスクを外している)

「マスター」こと店主の前田広喜さん(右から3番目)と「大隈塾」のプロジェクト活動「WDS」有志メンバーの皆さん(撮影のためマスクを外している)

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 早大南門通りにある喫茶店「ぷらんたん」(新宿区戸塚町1、TEL 03-3202-8333)が1月30日にクラウドファンディングを開始し、翌31日の21時に目標金額の60%となる300万円の支援を391人から受けた。

自家焙煎豆を使用する「ぷらんたん」のブレンドコーヒー

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 「ぷらんたん」は1950(昭和25)年オープン。昨年70周年を迎えていた。店名はフランス語で春を意味しており、「春のように温かみのある店でありたい」という願いも込められている。現在は早稲田大学OBで4代目店主の前田広喜さんと妻の美智子さんが切り盛りしている。

 大学前という立地もあり、オープン以来、早大生の交流の場として親しまれてきた。昔ながらの喫茶店が減少していることもあり、近年の早大生にとってはチェーン店ではない喫茶店を初めて経験する場にもなっている。前田さんは「ぷらんたんに行けば仲間に会える。そんな場所として利用してもらってきた」と振り返る。

 早大は春学期に引き続き、秋学期もゼミなど一部を除き、オンラインで授業を行っている。前田さんは「学生街からすっかり人が消えてしまった。お客さんも例年の3割以下。年末の忘年会シーズンに加え、去年に続き、今年も卒業式シーズンのコンパが無くなり、大きな痛手」と話す。持続化給付金などの公的支援も受けてきたが、新型コロナウイルス感染症の影響で厳しい経営状況が続いていた。

 そんな中、早大の講義「たくましい知性を鍛える(通称=大隈塾)」で学ぶ学生たちから「何かITでお困りのことはありませんか」と声が掛かった。前田さんがクラウドファンディングに取り組みたいと相談し、今回のプロジェクトが立ち上がることに。「ぷらんたん」と「大隈塾」の交流は7年前ほどから始まった。当時「大隈塾」の受講生で「ぷらんたん」の常連だった学生が、同店での打ち上げを企画。以降「大隈塾」の打ち上げ会場として利用され、受講生が客として利用することが多くなった。

 「大隈塾」はインプットだけではなく、アウトプットとして特定のテーマのプロジェクト活動(PJ活動)に取り組むことも特徴。クラウドファンディングは、「デジタルデバイド」の解消をテーマに掲げるPJ活動「Waseda Digital Support(WDS)」の有志メンバーがサポートしている。7人のメンバーのうち、3人が例年通りのキャンパスライフを経験していない1年生。

 クラウドファンディングの準備は12月に始まった。メンバーは、クラウドファンディングのページ作成、ツイッターやインスタグラムなどのSNSの運用に加え、リターンを考案。教員やOBOGからもアドバイスをもらい、プロジェクトページの精度を高めていった。前田さんは「私たち夫妻の力では絶対に実行できなかった。メンバーの皆さんには本当に感謝している」と話す。

 リターンは「ぷらんたん」のコーヒーを家で楽しめる「自家焙煎(ばいせん)コーヒー豆」(3,000円)、「ぷらんたんのロゴ入り記念タンブラー」(5,000円)、支援で店舗2階のイスや本棚を新しくする「ぷらんたんに新しいイスを!」(1万円)、「みんなでぷらんたんに新しい本棚を!」(5万円)、ペナントを額縁入りで店内に掲示する「名前入りペナント」(個人用=2万、団体用=3万)に加え、「ぷらんたん終日スペース貸し切り券or宴会コース」(10万円)などを用意する。

 WDSの吉留寛人さんは「支援者はリターン品が欲しいということよりも『ぷらんたんが続いて欲しい』という気持ちで支援してくださるのではないかと思った。その分、私たちも支援者の方にどのようなリターンだったら喜んでいただけるか、支援したいという気持ちにどうすれば答えられるかを必死に考えた」と振り返る。

 1月23日にクラウドファンディングへの挑戦を公式ツイッターアカウントでツイートすると「私の青春の場所が!クラファンに協力します!」「こういう店に畳まれてしまうと早稲田が早稲田ではなくなってしまうぞ。なんとか支えよう」「学生時代、毎日のように講義をサボって入り浸っていた。後輩たちの居場所を守るためにも微力ながら協力します」(以上、原文ママ)などの支援を表明するコメント付きリツイート300件弱を含め、6500超のリツイート、1.3万のいいねがあった。

 店主の前田さんは、「ツイッターの拡散といい、支援金の額といい、自分たちの想像以上で、ただただ驚愕の一言。創業当時の面影を残しながら、集まり散じて人は変われど『学生さん第一』で、早稲田に根差した店であり続けたいと願ってやまない」と意気込む。

 吉留さんは「今回のクラウドファンディングは、一過性のプロジェクトに終わることなく、ぷらんたんのこれからの70年を見据えている。今後もホームページやSNSを活用し、ぷらんたんの魅力が伝わるように情報発信していきたい」と話す。

 クラウドファンディングは3月15日23時まで。

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