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忘れ去らず共に歩もう「10年目のフクシマ」 鶴巻図書館でオンライン講座

オンライン講座「10年目のフクシマ」を企画した、区立鶴巻図書館の伊藤正志館長

オンライン講座「10年目のフクシマ」を企画した、区立鶴巻図書館の伊藤正志館長

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 区立鶴巻図書館(新宿区早稲田鶴巻町、TEL 03-3208-2431)が、3月6日、「ふくしま復興支援フォーラム」の呼び掛け人で元福島大学学長、今野順夫(としお)さんによるオンライン講座を開催する。

展示コーナー「東日本大震災から10年」と、担当した石川加奈子さん

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 今野さんは、住民の要望に添った復興を目指して、有志で「ふくしま復興支援フォーラム」を結成。震災から8カ月後の2011(平成23)年11月29日に1回目のフォーラムを開き、現在までに175回にわたり行い、市民協働の復興の追求を続けている。一方で、震災から10年が経過する中で、除染や社会環境の復興政策が進められてはいるものの、いまだ放射線被害を受けた地域の住民の帰還率は18%にとどまっている。

 講座は、館長を務める伊藤正志さんが前職の新聞記者時代から取材を通して今野さんと交流を続けていることから実現。伊藤さんは震災当時、全国紙の社説を執筆する論説委員として震災翌日の朝刊の社説を担い、以来、折々に福島を訪れ記事を執筆してきた。

 講座は東日本大震災被害の状況と復興の課題をテーマにする。伊藤さんは「津波の被災地と原子力災害の被災地は性格が違う。目に見えない放射線を相手にするため原子炉の廃炉に時間がかかるように『フクシマ』が元通りになるには時間がかかる。この現実は東京に住む者にとって、電気の需要地という意味でも、いつ大震災に見舞われるかもしれないという点においても無関係ではない。本を貸し出すだけでなく、図書館の使命の一つとして本講座を企画した。10年がたち復興も進んでいると感じがちだが現実はまだまだ厳しいという現状を伝えたい」と話す。

 新宿区立の図書館が開催する初めてのオンライン講座となる。新型コロナ感染症の影響を鑑みて踏み切ったという。

 講座に合わせて「東日本大震災から10年 -あのひ、あのとき、なにをしていましたか? -」と題して、館内に東日本大震災をはじめ災害や防災関連の蔵書を集めた展示コーナーを設置。20~50代のスタッフが、それぞれの震災の日の記憶をつづったテキストも掲示して紹介する。

 伊藤さんは「時がたち、福島で起こっていることが忘れ去られることに危機感を感じている。多くの人々に福島の現実を伝え、関心を持ってもらい、福島の復興はまだまだこれからなのだということを一人でも多くの人に知っていただきたい」と呼び掛ける。

 講座の開催時間は14時~15時30分。参加無料。定員は100人。受け付け締め切りは3月3日19時。鶴巻図書館での参加も10人、先着順で受け付ける。

 図書館の開館時間は9時~19時(土曜・日曜、祝日は18時まで)。火曜休館(2月23日は開館、翌日休館)。展示コーナーは3月17日まで。現在、新型コロナ対策として換気と消毒のため、13時~13時30分、16時~16時30分の間は、入館不可。

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