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早大演劇博物館で「2021年 新収蔵品展」 「伝芳瀧 肉筆上方芝居絵帖」など

 「伝芳瀧 肉筆上方芝居絵帖」(早稲田大学演劇博物館)

 「伝芳瀧 肉筆上方芝居絵帖」(早稲田大学演劇博物館)

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 早稲田大学演劇博物館(新宿区西早稲田1)が、近年新たに収集した収蔵品などを展示する「新収蔵品展」を行っている。

早稲田大学演劇博物館 外観

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 新収蔵品は、同館1階の六世中村歌右衛門記念特別展示室で展示。展示品は「伝芳瀧(でんよしたき) 肉筆上方芝居絵帖(ちょう)」をはじめ、人形遣い水田外史が使った犬や猫の操り人形、崑劇(こんげき)舞台で着用した帽子、ロシア人バレリーナ、オリガ・サファイアの衣装など。

 「伝芳瀧 肉筆上方芝居絵帖」は、幕末から明治前期に上方で活躍した浮世絵師、芳瀧が「雪月花」をテーマに歌舞伎の一場面を描いた役者絵。肉筆の芝居絵87図がテーマごとに3帖に収められている。近年研究が進む上方絵の貴重な資料。早稲田大学演劇博物館助教の原田真澄さんは「現存する役者絵は江戸歌舞伎のものが多い。上方芝居を描いている点、肉筆であるという点が珍しい」と話す。「役者は実在の役者だが、実際の舞台を描いたと思われるものと、芳瀧が理想とする配役で描いたものが混在し、芳瀧および描かれている役者の研究にも資する資料」とも。

 「黒色すう緞繍牡丹橋梁巾(「すう」は、糸偏に雛の左側の部首)(こくしょくすうたんしゅうぼたんちょうりょうきん)」(年代未詳)は、上海崑劇団が2018年に大隈講堂で公演したことを記念して劇団から送られた。

 同館助手の李思漢さんは「崑劇は京劇よりも古い演劇形式で16世紀から18世紀半ばまで流行した演劇。中国の古典演劇としてユネスコの無形文化遺産に登録され現在でも上演されている。展示品は若手の知識人がかぶる帽子。帽子は身分や場面によって使い分けられる」と説明する。

 現代人形劇の奇才といわれる水田外史が使っていた犬と猫の操り人形は、人形劇「カルメン」で使われた人形。文楽人形と同じように人が直接人形を動かすもので、細かい表現によりまさに生きているように使っていたといわれているという。水田外史は、同大学の歌舞伎研究の基を築いたと言われる郡司正勝と大変懇意だったという縁がある。

 オリガ・サファイアはレニングラード国立アカデミー出身のバレリーナで、駐ソビエト連邦大使館員の日本人男性と結婚後、日本でバレエを教え日本バレエの基礎を築いた。展示の舞台衣装は本人および弟子が着用していた。

 開館時間は10時~17時。入館無料。4月29日まで。

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