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早稲田の「漱石山房記念館」でテーマ展示 娘婿から見た漱石像は「先生であり求道者」

《通常展》テーマ展示「松岡譲の漱石研究 -岳父への想い-」を担当した「漱石山房記念館」 学芸員 杉浦倫子(のりこ)さん

《通常展》テーマ展示「松岡譲の漱石研究 -岳父への想い-」を担当した「漱石山房記念館」 学芸員 杉浦倫子(のりこ)さん

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 漱石山房記念館(新宿区早稲田南町7、TEL 03-3205-0209)で現在、夏目漱石最晩年の門下生の一人で、後に義理の息子となる松岡譲にスポットを当てた《通常展》テーマ展示「松岡譲の漱石研究 -岳父への想い-」が開催されている。

《通常展》 テーマ展示「松岡譲の漱石研究 -岳父への想い-」の様子

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 同展は、「漱石との出会い」「漱石研究の道」「ああ漱石山房」の3章で構成。松岡の漱石研究に関する資料を中心に、文学サロン「木曜会」での出会いから漱石の死後どのような研究を行ってきたかまで、その軌跡をたどる内容になっている。

 松岡は1915(大正4)年に初めて漱石と出会い、作家活動を開始。「憂鬱(ゆううつ)な愛人」「敦煌物語」などの作品を残す傍ら、自身の生涯のライフワークとして漱石研究を始める。

 漱石の長女筆子と結婚したことから7年間を漱石山房で過ごし「自身が漱石から見聞きしたこと、感じたことを何か残しておかなければいけない責任と義務がある」と、「ああ漱石山房」「漱石の印税帳」など80点以上もの随筆を執筆した。漱石晩年の境地を表した有名な言葉「則天去私」は、松岡との会話の中から引き出されたものだという。

 同展を担当した学芸員の杉浦倫子(のりこ)さんは「松岡譲は義父としての立場ではなく、あくまで先生という態度を崩すことはなく、漱石を『求道者』と語っていたそう。漱石と過ごした期間は1年ほどだが、松岡にとってその後の人生に大きな影響を与えた濃密な時間だった」と説明する。

 今回、漱石の「吾輩(わがはい)は猫である」のモデルとなった猫や夏目家で飼われていた生き物、その墓について書かれた松岡譲の随筆「猫の墓」の原稿が初めて展示される。この原稿とあわせて漱石自身が猫の死を知人らに伝えたはがきも見ることができる。

 杉浦さんは「松岡は本館名誉館長の半藤末利子の父であることもあり、貴重な展示が集まった。まだまだ一般の人からの知名度が高くないが、今回の展覧館を機会に彼がどんな作家であったのか、どのようなことを研究していたのか改めて知ってもらう機会になったらと思う。本館の裏手にある『猫の墓』にも立ち寄ってほしい」と話す。

 関連イベントとして、ユーチューブ公式チャンネル「レガスちゃんねる by 新宿未来創造財団」で、学芸員による展示解説映像の配信を予定している。

 開館時間は10時~18時(入館は17時30分まで)。月曜休館(5月3日は開館し、6日休館)。観覧料は、一般=300円、小・中学生=100円。6月27日まで。会期中、一部展示替えあり。

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