開館20年目の改修工事を経て4月1日、會津八一記念博物館がリニューアルオープンした。展示室の改修、バリアフリー化のほか、4Kデジタルサイネージも導入した。
同館は、早稲田大学で学び同大学で美術史を教えた會津八一(1881~1956)が、「研究と教育には作品とじかに接することが不可欠である」として博物館設立を提唱したことに発し、1998年に早稲田キャンパス内に設置された博物館。會津自身が私財を投じて収集した會津八一コレクションを柱の一つとするほか、考古学の発掘資料、アイヌ民族資料、また校友からの寄贈をはじめ富岡重憲コレクションなど、多くの収集家のコレクションの寄贈を受け、現在の収蔵品は2万件に上る。
建物は、建築家今井兼次が同大学の助教授時代に設計したデビュー作で、1925(大正14)年の完工時から1998年までは図書館として使われていた。今回の改修で、1階ホールの左右に、會津八一コレクション展示室(旧企画展示室)と近代美術展示室(旧大隈記念室)を新設。2階の旧常設展示室も大幅な改修を施しグランドギャラリーと名称を変更し、大空間の魅力を生かした展示レイアウトができるよう工夫したという。またスロープを設置するなどバリアフリー化に対応する改修も行った。
同大学文化推進部で同館を担当する村田聡史さんは「今回の改修で、より博物館として充実した展示が可能になった。旧図書館時代の正面玄関青銅扉の八芒星や1階ホールの柱をはじめ細部にわたる建物意匠も見どころの一つ。これまでの学生の入館率は低いが、キャンパス内にある同館に足を運び、會津八一の思想をくみ取り、当校が所有する貴重な美術品や資料に接してもらいたい」と話す。
「館内図やリーフレットの多言語対応、タッチパネル画面を操作してより詳しい資料の情報を入手できる4Kデジタルサイネージの導入などで、ソフト面でも言語や年齢を問わずより多くの人が親しみやすい博物館となった」と学内外からの来館を呼び掛ける。
開館時間は10時~17時。入場無料。