新型コロナウイルス感染症感染拡大防止の営業自粛の要請に応じて勤務先が休業となったすし職人が、高田馬場のSNSグループなどで呼び掛け包丁研ぎのボランティア活動をしている。
高田馬場で包丁研ぎをボランティアで行っているのは、高田馬場在住の依田太喜(たいき)さん。勤務先の「鮨(すし)のだり半 南口」(渋谷区)が新型コロナウイルス感染症感染拡大防止のため営業を自粛。4月4日から自宅待機となった依田さんは、毎日自分の包丁を研いでいた道具を持ち帰り、地元のウェブメディア「高田馬場新聞」のフェイスブックグループに投稿して包丁研ぎのボランティアを始めると呼び掛けた。
依田さんは「自宅待機が決まった時に、何か自分にできることはないか考えた。ふと3月から土日が休みになって家にいる自分や産後間もない妹やその家族の食事を作る母は大変だなと思った。そんなこともあって、包丁研ぎなら喜んでもらえるのではないかと思った。せっかくやるのだから多くの人に知ってもらいたいと、日頃から見ていた地域メディアのSNSに始めて投稿して呼び掛けた」と言う。
すぐに反応があり1週間で10件ほどの依頼を受けた。SNSグループには感謝の言葉と共に依田さんが研いだ包丁が投稿されていった。
依田さんは「思っていた以上に反響があってびっくりしている。最初に依頼をしてくれた人は自宅の隣のマンションに住んでいた。話をすると、娘さんが中学の後輩だということが分かって、お世話になった先生の話題などで話が弾んだ」と言う。
「お礼にとカレーをお裾分けしてもらったり、お花をもらったり、妹の赤ちゃんの話をしたら、よだれかけをプレゼントしてくれた人もいた。無料ということで気を使わせてしまうことを申し訳ないと思うが、今、お金をもらってやることでもないので気軽に声を掛けてもらいたい。包丁がよく切れると喜んでもらえるのがうれしいし、いつか地元で自分の店を出したいと思っているので、このつながりが将来に生きてくればすてきだなと思うとうれしくなる」と、ほほ笑む。
フェイスブックのほかに、「包丁研ぎます」と書いた紙を自宅に張り、近所にポスティングをするなどして告知を行い、休みの間は包丁研ぎボランティアを続けるという。
問い合わせは依田さん(TEL 080-6674-5335)まで。