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ゆかりの作家が紡ぐ「芳林堂書店」の掌編小説 高田馬場駅からつなぐ架け橋に

高田馬場駅に掲出した駅貼りポスターと芳林堂書店高田馬場店のスタッフ

高田馬場駅に掲出した駅貼りポスターと芳林堂書店高田馬場店のスタッフ

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 「芳林堂書店高田馬場店」(新宿区高田馬場1)が現在、サスペンス・ミステリー作家の青木杏樹さんの掌編小説を掲載した駅貼りポスターをJR高田馬場駅に掲出している。

青木杏樹さん、天祢涼さん、吉村萬壱さんの掌編小説が印刷されたチラシ配架の様子

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 高田馬場駅前のFIビルに入る同店は、学生街の大型書店として、長年、多くの人に親しまれてきた。昨年1月、店の呼びかけに青木さんが提供した同店がモデルの掌編小説をチラシにして配布。その後、ミステリー作家の天祢涼さんも掌編小説を提供。店にゆかりのある作家の物語が楽しめる2つのチラシが話題になった。当時は芳林堂書店のファサードや壁看板がなく、コロナの影響もあり新規の集客を模索している時期だった。

 今回、JR高田馬場駅の構内に掲出した駅貼りポスターは、青木さんが提供した「高田馬場の本屋と、アタシたち」を掲載したもの。物語の前半部分がプリントされており、店に立ち寄り、全編が掲載されているポスターやチラシを見ることで、物語の全容が分かる。デザインは芳林堂書店のブックカバーをモチーフにしている。場所は、駅構内のNEWDAYSの北向かい側。

 山本店長は「高田馬場駅前に当店があることをまだ知らない人も多い。さらに街の人が入れ替わる時期。新しく高田馬場に来た人にも当店のことを知ってもらえるようにと企画した。普通のものではなく面白いことをやりたいと思った。広告が貼られている時も多くの人が足を止めてくれていて、うれしい」と話す。

 青木さんは「書店の看板が外されて『せめて書店が営業していることを知ってほしい』と店長さん自ら寒空の下、チラシを配っていると知った。本を売りたい気持ちは作家も同じ。学生時代にほぼ毎日通ってお世話になった書店さんだったので、力になれないかと思った。芳林堂書店高田馬場店を舞台にした題材で、著作権が出版社に帰属しない掌編であれば使いやすいだろうと、ただのお節介だったが、広告に使っていただき、うれしい」と話す。

 4月19日~25日には、天祢涼さんの掌編小説を題材に駅貼りポスターを掲出予定。芳林堂書店のイメージカラーである緑をモチーフにする。同時に掌編小説の中に登場する「芳林堂書店高田馬場店でH先生のフェアが開催される」状況を再現する。3月29日には、芥川賞作家吉村萬壱さんの掌編小説のチラシを配布開始。作家の協力を得ながら、新しい書店の形を追求している。

 山本店長は「作家の方の厚意でこのような取り組みができて、ありがたく思っている。店頭には掌編小説を提供いただいている作家の方の作品も置いてあるので、チラシで興味を持った方には手に取ってもらえれば」と呼びかける。

 青木さんの掌編小説の駅貼りポスターは4月4日まで。

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